創業期から設立50年までのヒビノの「社史」を、時代背景と共に全5章82話の物語で紹介します。
資料編では、ヒビノの4つの事業と製品・商品・サービスの変遷を年表でご覧いただけます。
第1章 創業期 1964─1973 音響に託した夢と未来
17歳でテレビを自作し、「街の科学者」と呼ばれた日比野宏明は、1956(昭和31)年6月、東京・神楽坂にテレビの修理・販売を営む個人商店「日比野電気」を開業した。その後音楽喫茶の音響装置の製造・設置を手掛けるようになり、1964(昭和39)年11月、業務用音響機器の設計・販売を主業務とする新会社「ヒビノ電気音響株式会社」を設立。
1970年の大阪万博を境に、海外音響機器の販売へと事業の軸足を移し、コンサート音響という新しい事業領域を開拓していく。
第2章 成長期 1974─1983 コンサート音響事業のパイオニアとして
海外の一流アーティストのコンサート音響を次々と手掛け、日本におけるコンサート音響の事業化に成功したヒビノ電気音響は、機材のレンタルだけでなく、高度なオペレート技術を提供するPAエンジニアの台頭によって、さらに事業規模を拡大していった。
自作のスピーカーシステム「HH3000」「BINCO」の開発により、圧倒的な大音量・高音質のPAを実現し、コンサート業界において「ロックのヒビノ」「ヒビノサウンド」というステータスを確立するまでに至った。
一方、販売事業部はPA事業部との連携により、現場運用における豊富な情報を強みに、プロ用音響機器の販路を拡大していく。
第3章 拡大期 1984─1993 音と映像のプレゼンテーター誕生
創業以来、音響に特化した事業を展開してきたヒビノ電気音響は、時代の変化を捉え、新たな経営方針を打ち出した。
キーワードは「音楽と映像の融合」。来たるべき「AVCC(オーディオ・ビジュアル・コンピューター&コミュニケーション)」時代に向けて、最初に着手したのが映像分野への進出だった。
コンサートにおける大型映像サービスやパッケージ制作、ポストプロダクション業務など、さまざまな映像分野にトライする中で、大きく花開いたのが「イベント映像サービス」であった。
1988(昭和63)年、商号を「ヒビノ株式会社」に変更し、「音と映像のプレゼンテーター」を新たなコーポレート・スローガンに定めた。
新生ヒビノは、音響機器販売事業とコンサート音響事業、そして大型映像サービスを前面に打ち出し、時代の波に乗って海外でのビジネス展開など、積極経営を推し進めていった。
第4章 転換期 1994─2003 第4の柱を求めて
バブル崩壊後の日本経済は低成長時代に突入。
ヒビノは音響機器販売事業の再編を進め、有力ブランドの輸入総代理権を次々と獲得した。
ドームや大規模野外コンサートに対応するPAサービスの充実に取り組むとともに、「現場の安全」に対する対策を強化。
またインターネットの普及によるIT関連の事業にも乗り出し、「音と映像のIT化」にもチャレンジした。
そして大型映像サービスにおいては、大規模な機材投資により、長野冬季オリンピックへの機材提供など、その事業規模を拡大する一方で、映像制作の撤退など事業の整理も進めた。
1993(平成5)年の青色LEDの開発成功によるフルカラーLEDディスプレイの登場は、大型映像サービスの可能性をさらに拓くものとなった。
ヒビノはLEDディスプレイを新たな事業ターゲットと定め、クロマテック社への資本参加、吸収合併を通じて、大型LEDディスプレイ・システムの開発・製造・販売事業に参入する。
第5章 飛躍期 2004─2014 進化への序章
ヒビノの大型LEDディスプレイ・システムは、国内外で高い評価を得てヨーロッパ、アジア市場への進出を果たし、事業の「第4の柱」として新たなビジネスを生み出した。
同時に事業の選択と集中を推し進め、2006(平成18)年2月、ヒビノはジャスダックに上場を果たした。
そして2008年のリーマン・ショックによる急激な需要の冷え込みに際しても、徹底的な経営の合理化と収益基盤の強化によって苦境を脱していった。
近年は音響機器のセールスも好調を示すとともに、コンサートビジネスの興隆によりコンサート音響及び映像サービスは活性化し、特にライブステージのエンターテインメント化が進むことで、コンサート映像に対する多様なニーズが生まれている。
2014(平成26)年11月、設立50周年を迎えたヒビノは、「音響」「映像」「音楽」「ライブ」のあらゆるニーズに応えるトータル・ソリューション企業を目指して、さらなる進化の道を歩み続ける。
資料編
ヒビノの4つの事業と製品・商品・サービスの変遷をそれぞれ年表にまとめました。「資料・年表」では、取扱いブランド変遷、開発製品、コンサート音響の機材史、コンサート・イベント映像の機材史、年表をダウンロードいただけます。
凡例
- 1.本社史の記述は2014(平成26)年12月までとした。
- 2.用字用語は常用漢字、現代かなづかいによったが、慣用句、専門用語など、特殊なものについては、これによらないものもある。
- 3.引用文は原則として原文どおりとした。
- 4.年号は西暦を基本とし、各節の初出に和暦を付した。
- 5.人名及び企業名の敬称は省略した。
- 6.企業名、団体名について、各章の初出に現在名を付した。
- 7.外国社名の和文表記については一般的な用法に従い、会社の種類(Co.、Ltd.、Inc.など)の表記については原則として「社」に統一した。
※ここに掲載した情報は、2015年2月発行の「ゴールなき頂を求めて 挑戦こそが我らの誇り ヒビノ株式会社50年史」より転載したものです。会社名や組織名等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。